井上晴雄の「日本 再発見の旅」(温泉、離島、宿)

◆全国の旅行ガイド

(愛媛県)瀬戸内海が見える温泉宿、権現山荘

(第3回/愛媛県)瀬戸内海が見える温泉宿、権現山荘

(地図を開く)愛媛県松山市権現町

■西の青空が次第に茜がかってきた。サクラの木々の隙間から、眼下の町並みが広がり、そ権現(夕暮れ)の先に、 瀬戸内海 が淡く浮かび上がっていた。 
 

■松山平野の北東端、権現川に沿ったのどかな山あいに、 権現温泉という小さな温泉郷がある。地元の人々が大正正時代から親しんできた 湯治場 で、現在では4件の温泉旅館がこじんまりと営業を営んでいる。



■ 今治駅 からは 松山 行きの鈍行に乗った。2両編成の列車は、賑やかな学生たちを乗せて明るい田んぼや麦畑を割って走る。1
2駅目の堀江駅で降りると、無人駅の待合室には初夏の光が差し込んでいた。予約を入れた権現山荘に電話をした。10分ほどすると一台の乗用車が入ってきて、快活そうな若旦那さんが出てきて白い歯を見せた。車は甘酸っぱい香りのするミカン畑やのどかな田園を風景を車窓に映して走る。小さな集落をすぎ、くねくねした道を登りきると入り口に権現山荘と書かれたかわいい建物が現れた。 


権現(外観)
■権現山荘は昭和
38年築で懐かしい感じがするたたずまいだった。床の間には、書の掛け軸や季節の生花が部屋の基調を整えている。大きく切り取られた窓に進むと、柔らかな光が差し込んでいた。カーテンを開けると、木々の隙間から眼下の町並みが視界に広がっていた。遥かには輝く瀬戸内海。沖には小さな船影がゆっくりと行きかっていた。目をつぶると木立の風がそよぎ、ウグイス、メジロなどの野鳥の声が聞こえてきた。それぞれの音が柔らかい陽だまりのなかに軽やかに弾み、茜色に染まった空の中に吸い込まれていく。まるで、小さいときに聴いた子守唄のような心地よさ。 


■しばらくすると部屋の戸がノックされ、女将さんが料理を運んでくれた。「さぞかしお疲れでしょう。ゆっくりとお召し上がりください。」膳には瀬戸内海の旬の食材をメインに彩りよく盛りつけられていた。鯛の刺身、霜降り和牛のバター焼き、メバルの煮付け、そのほか地元の山の幸。海の潮の香りや穏やかな山のやさしさが伝わる美味しい会席料理 だった。

 
■まちを染めた夕陽が落ちてから一階の温泉へ下ると、素朴な大理石の浴槽に熱い透明の湯が揺れていた。 源泉 100%の温泉はアルカリ性が強く、ヌルヌルしていて、しばらく浸かっているだけで肌がつるつるになった。昭和9年、この肌にやさしい湯を歌人の吉井勇は「大伊予の友国の湯にひたりつつほのぼのとしてものをこそ思へ」と親しみを込めて詠んだそうだ。
 
権現(料理)


■湯上り、外に散歩に出ると雲間に銀色の月が出ていた。カジカの声が澄んだ空気の中で胸に染みわたる。
いつしか都会の雑踏を忘れててゆったりした気分になっていた。権現山荘界隈は春は桜でピンク色になり、秋は息を呑むような錦色に染まる。そんな季節にもまた訪れてみたい。 

権現(風呂)

<こちらから権現山荘の宿泊予約をできます> 

 権現(列車)

<権現山荘>
 電話)0899790515

(住所)松山市権現町甲820

(宿泊料金)一泊二食付き8550円〜 
 (泉質) アルカリ性単純泉 

(効能)神経痛、皮膚病、関節痛など

(外来入浴)可(ひとり600円/1522時) 

(食事付き入浴)
2500円〜 

(交通)

JR堀江駅からタクシー5 

  ・松山ICより車35

(送迎)可(応相談)

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神戸ルミナリエで伝わる心(兵庫県)神戸で「心」を再発見する

 
神戸 ルミナリエで伝わる心(兵庫県)
〜神戸で「心」を再発見する〜




去る昨年の12月、神戸 ルミナリエに足を運ぶ機会があった。梅田から阪急電車に揺られ、神戸 三宮駅を降りると、まちはクリスマスの賑わいを見せていた。人々が楽しそうに行き交い、木々には美しい電飾の数々が掲げられている。
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▲神戸 ルミナリエの光景 

 神戸 ルミナリエは、兵庫県の神戸 市において毎年12月に行われる光の祭典のことである。イベントの期間中は、神戸の中心街である三宮の仲町通に、幾何学模様で構成されたイルミネーションが立ち並び、その先の東遊園地には、敷地を取り囲むように光の壁が立てられる。

 神戸 ルミナリエの開催のきっかけとなったのは、平成7年(1995年)に起きた阪神・淡路大震災である。そのとき神戸では、淡路島北部で発生したM7.3の地震によって、神戸のまちは倒壊し、6000人以上の尊い命が奪われることになる。その死者の鎮魂と追悼、および神戸の街の復興の願いを込めて、同年12月から、神戸 市を挙げて催されるようになったイベントが、神戸 ルミナリエなのだ。


以降、神戸 ルミナリエは毎年のように開催され、意匠を凝らした華麗な光の列で人々を魅了。しかし、今回の神戸 ルミナリエは例年とは少し様相が異なっていた。というのは、神戸 ルミナリエを運営をするための資金が不足し、次回以降の開催が危ぶまれたため、会場にはボランティアスタッフが立って、来場者に、ひとり100円の募金を呼びかけていたのだ。

人の列に押されながら一歩一歩、神戸 ルミナリエの会場に辿りつくまでの順路を進んだ。街角には木枯らしが吹き荒れ、空は寒々と凍りついている。暗闇がりに沈む建物の並びを曲がると、横に歩いていたカップルが「わぁ綺麗」と歓声を上げた。そこには、光り輝くアーチが浮き立っていた。これが神戸 ルミナリエ。その電飾の列は、まるで、山の端から朝陽が昇るように、煌びやかに迫りくる。その場で思わず足を止めた。

しばらくその神戸の美しい光景に見入っていると、後方から騒がしい声がするので、ふと振り返ると、ぎょっとした。いかにもガラの悪そうな若者たちが、数人ぞろぞろ歩いてきたのだ。髪をカラフルに染め、顔にピアスを光らせ、殺伐とした雰囲気を醸しだしている。彼らは、この神戸に遊びで来たのだろうか?それとも、この美しい神戸の電飾のイベントを邪魔しにきたのだろうか?いかにも場違いに思え、嫌悪感さえ感じた。
 
 そのときだった。彼らは、道の脇に立っている神戸 ルミナリエのボラ ンティアスタッフのもとに歩み寄り、もじもじと恥ずかしそうに、募金箱の上に手をかざし、握りしめていた100円硬貨を次々と投入した。「俺らも、応援してるからな。」「寒いなかご苦労さん。」「来年も開いてくれよな。」と口々に言いながら、神戸の人ごみのなかに消えていったのだった。いつの間にか、厚い雲で覆われていた神戸の寒空には、明るい月が浮かび上がり、足元をやさしく照らしていた。咄嗟に、彼らを外見だけで判断してしまったことに反省した。彼らは、人間として大切なものを持っていたのだ。

IMG_7607[1][1].jpg るみなりえ

▲神戸 ルミナリエ光ののアーチ


現代の日本は、情報やモノは豊富に溢れている。一見すると、飽食で平和な時代。しかし、どこかしら、生きにくい時代といえるかもしれない。漠然とした未来への不安が蔓延し、心の安らぎや、生きる喜びを感じにくい社会。なかには鬱病などから自殺においこまる方も少なくない現状は、遺憾であり、早急に解決せねばならない課題である。そんな時代、明るい未来を切り開いていくためのキーワードのひとつは「心」ではないかと思う。他者をあたたかく思いやる、優しい「心」である。人が人を慈しみ、ともに助け合いながら生きていく。そんなあたたかい「心」を各々が持っていれば、どんな難局であっても、それを乗り越えていくためのヒントが次々と生まれてくるように思う。そんなことを、神戸で再発見した。


(公式サイト)
神戸ルミナリエ公式サイト

(神戸までの交通アクセス)
・各空港から神戸に 
飛行機 で神戸空港へ。六甲ライナーで三宮駅、徒歩5分
・新幹線新神戸 駅から、神戸市営地下鉄で三宮駅、徒歩5分
・各地方バスターミナルから
高速バス で神戸 三宮ターミナルへ。徒歩5分

(神戸の観光に)
航空券+宿泊
レンタカー ※開催期間は三宮界隈への駐車は困難


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