■高山本線で行く 飛騨小坂温泉郷

ローカル線で行く温泉の旅(温泉/ライター 井上晴雄)
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■高山本線で行く 飛騨小坂温泉郷

「高山本線で行く 飛騨小阪温泉郷(下島温泉/ひめしゃがの湯)」


(交通)

岐阜⇒(JR高山本線 富山方面)⇒飛騨小坂⇒(路線バス 大洞または鹿山行バスで15分)⇒
ひめしゃがの湯前停下車

 

高山本線車内.jpg




  行楽シーズン、旅行パンフレットを眺めていると、大規模な温泉に
目がいきがちなものだ。しかし、そんなときに、あまり知られていない小規模な温泉に、ローカル線にゴトゴト揺られて、運んでみるというのも、なかなかよいものである。

   岐阜県おいては、JR高山本線で飛騨山地を縦断していくのもなかなか楽しい。所要時間はかかるが、山里ならではの風光明媚な車窓風景を楽しめる。沿線には、高山、飛騨古川など観光地も点在し、木曽川や飛騨川がつくりだす渓谷美は、これこそ見事なものだ。高山本線の沿線にある、飛騨小坂温泉郷の「下島温泉ひめしゃがの湯」に足を運んでみることにした。


高山本線.jpg




 高層ビルや住宅地が立ち並ぶJR岐阜駅から、高山本線の鈍行列車は発車した。二両編成のディーゼルカーは、近代化されたまちなみを過ぎ、鮮やかな実をつけた柿の木々や、立ち枯れたススキの林を窓外に、次第に、山のなかに入っていく。ちいさな茶畑にはあたたかい陽が照り、四方は見上げるような山が迫っていた。時折、山と山の隙間からのぞかせる青空もほの美しい。

 トンネルを抜けると、渓流が現われ、轟々と音を立てながら、鉄橋の下を流れていった。河岸にはゴロゴロと奇岩怪石が転がり、陽を受けて、まるで宝石のように輝いている。吊橋もかかり、すっかり秘境のムードだ。飛騨金山から焼石に至る約9kmの飛騨川沿いの渓谷は、中山七里と呼ばれる景勝地。絶景がつづき、まばたきするのが惜しいほどだった。

 古井、下麻生、上麻生、と列車は各駅に停まっていく。白川口を過ぎると、川の流れが急に緩やかになった。エメラルドグリーンに澄みきった水面に、竹林や民家が静かに映しだしされていた。

渓谷.jpg


 列車はJR下呂温泉駅で終点。ここから、富山方面に向かう列車に乗り換える。列車は下呂温泉の近代的な温泉街を過ぎ去り、再び、深い山のなかに入っていった。上呂、飛騨宮田、、山が深くなり、谷底にちいさな集落が寒々と張りついているのが見えた。
  数駅先の、飛騨小阪駅で降りた。ここが飛騨小坂温泉郷の最寄り駅。風呂敷を担ぐおばあさんたちにつづいて、改札口を出る。


飛騨小阪駅.jpg

まちに出ると、粉雪が舞い、ひんやりと空気が冷たかった。しんと静まりかえった、まちの入り口に「飛騨小坂温泉郷」という看板がひっそり掲げられていた。駅前を歩いてみたが、温泉らしきものはなかった。
列車に一緒に降りたおばあさんが立ち話をしていたので聞いてみると、「温泉はだいぶ離れとるが。」とのこと。

 飛騨小坂温泉郷のうち、下島温泉ひめしゃがいの湯までは、路線バスが運行していると分かった。路線バスを待つことにした


 飛騨小阪温泉郷にある下島温泉は、長野県境に近く、御嶽山の北西に湧く温泉。300年ほど前かから、湯治場として栄えてきた。深い山間の中にあって、秘湯ムードを楽しめ、全国屈指の炭酸含有量を誇り「飲める鉱泉」としても知られることから、知る人ぞ知る名湯である。



バス.jpg


 路線バスで雪道をゆっくりと走ること20分ほど。突如、山すそに、円錐状の屋根をしたユニークな形の建物が現れた。それが、「下島温泉ひめしゃがの湯」だった。


しゃくなげ外観.jpg


 入り口横に飲泉場があり、茶褐色の湯が、もくもく湯気をたてて湧きだしていた。ひしゃくですくって飲んでみると、炭酸の効いた鉄の味がした。いかにも効き目がありそうだ。下島温泉の泉質は含鉄(U)-ナトリウムー炭酸水素泉・塩化物冷鉱泉で、飲用にも浴用にも適し、糖尿病、肝臓病などに効き目があるといわれている。

しゃくなげ湯.jpg


 2階がロビーと受付になっていた。こんな山の中なのに、意外とにぎわっている。入り口で、「スタンプカードお持ちですか?」と尋ねられた。スタンプが集まれば割引になるシステムなのだろう。「大阪から来たもので、持ち合わせていません」と答えると、「みかんをひとつどうぞ」と籠のなかに入っている、きれいなミカンを手渡してくれた。ささいなことだが心温まった。
 

 受付から順路に従って歩いていくと、湯煙のなかに、浴場があった。
茶褐色の湯がこんこんと湧きでていて、地元の方々が笑顔で入っている。炭酸泉の源泉かけ流しの湯もよく、薬草風呂、スチームサウナ、泡風呂など、設備も充実していた。「休日はここに来るのが楽しみでしてなあ。」と、湯煙の向こうに、地元の老人たちの声がする。


しゃくなげ飲泉.jpg

 ひめしゃがの湯には、レストランが併設されている。小坂町で自生するハーブを使った健康料理や、胃腸の調子がよくないときに地元で振舞われていたという、温泉粥など個性あるメニューが目白押しだ。そのユニークさは然ることながら、お客への、健康への配慮が何より嬉しい。



断崖.jpg


 湯から出ると、体がポカポカしていて外に出ても寒さを感じなかった。付近に、清流濁川が流れていて、さらさらと瀬音を立てている。その河畔に、しばらく佇んでいた。その上流方向に、霧のなかに木曾御嶽山がそびえていた。その手前には、山の斜面がえぐり削られたような絶壁が広がっていた。。垂直に屹立する岩肌は、巖立渓という絶壁で、今から約5万年前、霊峰御嶽山の噴火があり、そのときに流れ出た溶岩流が固まってできたのだとか。自然の神秘と雄大さを改めて感じさせる。


 緑豊かな野山、きれいな川、自然を楽しみながら、温泉でゆったりと羽根を伸ばし、家族や友人たちと楽しく談笑したり、旬の味覚を楽しむ。一見たわいもないようなことだが、これこそ、古きよき時代にあった本来の休日の過ごし方といえるかもしれない、とふと思った。
JR高山本線沿いには、高山、飛騨古川など、小京都と呼ばれるまちも点在し、茅葺屋根の白川郷の基点でもある。そんな古きよき時代の風景を、飛騨の地でゆったりと味わってみたい。




石碑.jpg




電話0576-62-3434
営業時間10:00〜21:00(受付は20:30まで)
レストラン 平日  11:00〜15:00(オーダーストップ14:30)
      土日祝 11:00〜15:00(オーダーストップ14:30)
           17:00〜20:30(オーダーストップ20:00)
定休日 毎週水曜

小坂町地域活性課 0576-62-3111
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プロフィール

shirakawa_1.jpg このたびは、ご訪問、誠にありがとうございます。当サイトは、トラベルライターおよび旅行添乗員の経験がある筆者が、数年かけて日本各地を旅行しながら、取材して作成したものです。温泉、宿、特産品、歴史など観光地の紹介に加え、話題に乏しい地方の田舎町も取り上げることで、地方の活性化にも貢献できればと思っています。今後とも、よろしくお願いします。  (ガイドブック・雑誌等 実績)
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▼井上晴雄.が執筆に携わったガイドブックの一例 ・「旅の雫」(交通新聞社)・「癒しの湯治宿」(山と渓谷社)・「B&Bの宿」(山と渓谷社)・西国33ヶ所ウオーク(JTBパブリッシング)・「花の社寺ウオーク」(JTBパブリッシング)・「まっぷる滋賀」(昭文社)・「全国焼酎めぐり」(学研)・・「まっぷる北近畿」(昭文社)・「関西あそびマップ」(ジアース) 他
(井上晴雄.プロフィール)  昭和52年(1977年)、大阪府堺市に生まれる。 画家、ライターとして、幅広く活躍。朝陽や夜景を はじめとする日本の旅風景を描きつづけている。 株式会社かね善本社(大阪市)に作品約40点が 常設展示されている。個展14回、グループ展9回。 雑誌や新聞での連載。書籍への掲載多数。韓国や豪州など海外出展、豪州日本大使館に作品収蔵。   心の豊かさを感じにくい現代社会。作品を通して、 ひとりでも多くの人々に、「未来への希望」や 「生きる元気」を与えたいと、日々、制作に 取り組んでいる。

@朝陽(絵画と文) @朝陽(絵画と文) 

・・「氷見の朝陽」、「黒潮の夜明け」、「古都の朝陽」はじめ、太陽が昇る瞬間の作品

A夕陽(絵画と文) A夕陽(絵画と文)

・・「山陰 海岸の夕暮れ」、「宍道湖の夕暮れ」、「しまなみの夕景」はじめ、太陽が西に沈もうとしている作品                                                             

B夜景(絵画と文) B夜景(絵画と文) 

・・「函館の夜景」、「神戸の夜景」、「長崎の夜景」はじめ、まちのあかりに関する作品

 

C海(絵画と文) C海(絵画と文)

・・「しまなみの夕暮れ」、「津軽海峡の朝陽」、「春の海」はじめ、海を舞台にした作品

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