■「わたらせ渓谷鉄道で行く水沼温泉」(群馬県 水上/温泉 鉄道) - 心に残る温泉やグルメの旅(文と写真:井上晴雄)

昔ながらの車両や木造の駅舎・・古きよき時代の郷愁誘うローカル線・・。そこには夢とロマンがあります
スポンサーリンク

ローカル線にふらりと乗り途中下車して思いがけない美しい風景や文化を味わうのも旅の醍醐味・・

■「わたらせ渓谷鉄道で行く水沼温泉」(群馬県 水上/温泉 鉄道)

(第8回:水沼温泉)わたらせ渓谷鉄道で行く駅舎温泉


■温泉がたくさんある北関東の都道府県といえば、真っ先に群馬県が思いつく。先日、そんな群馬県に行く機会があった。 東京からJR高崎駅で乗り継ぎ、JR両毛線の車両に揺られながら、沿線に温泉がないかと地図を眺めていると、線路上に温泉のマークがあるのを発見した。それは、 わたらせ渓谷鉄道の水沼駅にある「水沼温泉センター」(群馬県 勢多郡) 。施設の名前からも、駅舎に湧いている温泉だと予想できた。初夏の日差しがやや陰りはじめた昼下がり、わたらせ渓谷鉄道に乗り換えようとJR桐生駅(群馬県 桐生市)で電車を降りた。

■わたらせ渓谷鉄道は、群馬県の桐生駅と栃木県の間藤駅の間、約44kmを繋いでいる第三セクター鉄道である。前身は大正元年(1912年)に開通した国鉄足尾線。当時は銅や生糸など産業資源を運ぶ役割を担っていたが、平成元年(1989年)、私鉄へ転換されてからは、四季折々の渓谷美を見所にする観光路線へと様変わりした。

水沼(わたらせ渓谷鉄道の列車/群馬県).jpg



■わたらせ渓谷鉄道の桐生駅(群馬県 桐生市)のホームで列車を待っていると、あずき色の二両編成がゆっくりと入線してきた。扉が開き、学生たちがぞろぞろ降りたあと、ひとりのおばあさんが野菜の入った買い物袋を提げて乗り込んでいく。わたらせ渓谷鉄道の車内はガラガラで座席は選びたい放題だった。しばらくして列車は軽やかなディーゼルエンジン音を立てて 織物のまち・わたらせ渓谷鉄道の桐生駅(群馬県 桐生市)を発車した。列車はJR両毛線との共用区間をしばらく走り、渡良瀬川の鉄橋を越えると、伝統産業の風情を漂う民家が車窓を流れた。時折、麦畑も顔をのぞかせている、そんなのどかな風景を列車はのんびり縫い、わたらせ渓谷鉄道の列車は運動公園駅、相生駅と各駅に停車していく。

水沼(わたらせ渓谷鉄道の車内/群馬県)水沼(わたらせ渓谷鉄道の車窓 緑の休憩)■急に緑の中に入ったのは、大間々駅を過ぎてからだった。わたらせ渓谷鉄道の列車はレンガ造りの短いトンネルを抜けると突然、耕地がなくなり、杉木立の斜面が急傾斜で谷へ落ちていた。列車はその崖にしがみつくように山肌をゆっくりときしみ、曲がりくねる。ふと渓流を見下ろすと、白く早く流れる水が、岩にぶつかってしぶきをあげ 山ツツジが渓流に紅色の影を落としていた。わたらせ渓谷鉄道の列車は陽だまりの上神梅駅に到着。買い物袋のおばあさんはここで降りた。小屋のような駅舎にはリンドウが咲き、ひとりのおじいさんが丁寧に水遣りをしていた。駅を後にすると、またもやトンネルにさしかかる。随分遡上してきたのか巨岩がごろごろとしてきて、釣り糸を垂れる人の姿も見える。わたらせ渓谷鉄道の列車は木漏れ日が美しい本宿駅でしばらく停車。車掌が汗をぬぐいながら切符を集めている。緑の深いあたりからはヒグラシの美しい音色が聞こえてきた。汽笛の音と共に発車すると、わたらせ渓谷鉄道の列車は、まるで廃線跡のように夏草に覆われた線路の上を、丁寧に辿っていく。木々が鬱蒼と覆いかぶさり、正に幽谷といった趣。周囲は黒檜山や荒神山など1000m〜1800m級の山々が迫る山岳地帯。

■数分後、景色がようやく開けて、わたらせ渓谷鉄道の列車は目的地の水沼駅に到着した。既に陽は西に傾きはじめており、軒を支える柱がホームの上に長い影を落としていた。高架橋を渡るとすぐに 水沼温泉センター(群馬県 勢多郡)の入り口になっていた。「いらっしゃいませ。」係の方快活な声に、深々と会釈をして館内に入る。入って右手の大広間からは団体客がまとまって食事をしているのか楽しそうな笑い声がこだましている。入浴券を買って左手の温泉へ向かった。順路に従って細長い渡り廊下が延び、木造の格子戸の隙間からは緑が溢れていた。すぐ右手に大浴場・せせらぎの湯の入り口があった。浴室に入ると数人のおじいさんが入浴を楽しんでいた。「先週のゲートボールは楽しかったですな。」「そうですな、来週もぜひ行きたいですな」。大きく切り取られた窓からは渓谷を一望でき、緑が湯に映っていた。


水沼温泉センター(群馬県 勢多郡)の源泉は6qほど離れた 猿川温泉で引き湯をしているのだとか。泉質はさらりとした食塩泉で、神経痛、関節痛などに効能があり。大浴場には サウナや 水風呂もあるからゆっくりくつろげそうだ。


わたらせ渓谷鉄道の沿線に湧く水沼温泉センター(群馬県)水沼温泉センター(群馬県 勢多郡)の大浴場から渡り廊下を更に進んでいくと、突き当たりに「カッパ風呂」と書かれた暖簾が初夏の風に揺れていた。その足元には、石で造られた 河童のモニュメントが佇んでいる。看板によると、近くの淵ではカッパ伝説があるらしい。何となく不思議な気持ちで暖簾をくぐると円形の露天風呂が現れた。木の香りのするまとまった空間には荒い岩肌の湯船が座り、透明の湯が波紋を描いてきらきら揺れていた。対岸の山々の緑が湯に映り、眼下には 渡良瀬川のせせらぎの音がして眺めているだけで心休まった。


水沼温泉センター(群馬県 勢多郡)の温泉の湯上りに渓谷の遊歩道を歩いた。風のそよぎが気持ちいい。渓流をのぞきこむと、川底の小石が見え、川魚がさっと泳ぐ去って陽炎のように滲んでいく。少し上流に行くと、伝説のカッパがいるという淵があった。 奇岩が重なり合い葦が群生していて、いつ現れてもおかしくない雰囲気が漂っている。そこまでの道沿い続くのは八重桜の並木。春は桜の花びら舞い、秋は赤や黄色の葉に渓谷中が彩られることだろう。


今回の旅は日帰りだったが、次回は桐生あたりで泊まって、わたらせ渓谷鉄道の臨時便のお座敷列車や トロッコ列車で訪れてみるのもいいかもしれないなと思った。

わたらせ渓谷鉄道の沿線の風景 水沼(上流)

<水沼駅温泉センター>

(電話)0277-96-2500
(住所)群馬県勢多郡黒保根村水沼字早房120-1
(入浴料)大人500円、10〜21時(12〜3月は〜20時)
(休み)毎月25日(土日祝日の場合は営業、翌日休み)
(交通)わたらせ渓谷鉄道の水沼駅すぐ(上りホームに併設)
日本はうつくしい風景、歴史、グルメほかさまざまな魅力にあふれています

スポンサーリンク

紅葉、桜、温泉、和食・・日本の旅には、さまざまなハイライトがある。巡る四季のなかで光と色が躍動し豊かな自然景観と重なって心地よい風情をつくりだす。そんな日本の旅の魅力を再発見していきたいと思う。

井上晴雄 絵画作品集

井上晴雄 絵画を鑑賞できる「カフェテリア アイハウス」
2017-03-26 12:26 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
スポンサーリンク

四季折々の豊かな自然に囲まれた日本。春は桜や新緑、夏は緑に紺碧の空、秋は紅葉、冬は雪景色・・旅先には、その季節に応じた風情や景観美があることでしょう。
当サイトのテキスト・画像等すべての転載転用、商用販売を固く禁じます 
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。