(神山温泉)春色に染まる四季の里/徳島県
(地図を開く)徳島県名西郡神山町
■徳島駅からバスで西へ1時間ほど入った山ひだに、神山温泉という良泉があると聞いた。春は裏手の山が、菜の花やレンゲ草で美しく染まるという話にも心引かれて、うららかな昼下がり、JR徳島駅からバスに乗りかえ、立寄ってみることにした。

■1時間ほど待ってロータリーに入ってきた神山行きの徳島バスは定刻に徳島駅を出た。市街地の雑踏を過ぎると、道路は次第に山を巻きはじめる。車窓は、左手にみずみずしい四国山地の緑を、右手には鮎喰川の清らかな流れを優雅に映しだしていった。1時間ほどバスに揺られて神山温泉前で降りた。明るい風のそよぎの向こうに桜の花びらがひらひら舞い落ちている。その陽だまりの道を抜けていくと、民芸風の神山温泉の建物が現れた。
■神山温泉の歴史は古く、江戸時代末期に地元の人々が共同で湯屋を開業したのが起こりとされる。当時は近隣にあった次郎銅山の労働者を中心に湯客を集めたものの銅山の衰退に伴って一時廃業。それを善覚寺の住職が大正14年、「弁天鉱泉湯」として再開した。そのとき同氏が依頼した鉱泉分析の結果、神山温泉は「温泉として価値が高く医治効果も顕著」との結果を得る。昭和45年、温泉再掘により湧出量が増えたのを契機に、神山温泉保養センターが創業。平成15年、バリアフリー設計を施した新館もオープンの運びに至った。
■館内に入ると高い天井にシャンデリアが掛かげられ、神山杉の床や壁に薄橙色の光を落としていた。広がりと温かみを感じさせる空間に思わず心が和む。荷物を部屋に置いてから温泉に浸かりにいった。格子戸をガラガラ開けると、素朴なタイル張りの浴槽が現れ、透明の熱い湯がなみなみと張られていた。湯はヌルヌル感のあるいわゆる美人の湯とされる良泉だった。特筆すべきことに、神山温泉の泉質は、ナトリウム塩化泉と炭酸水素泉の効果を併せ持つ珍しいもので、陰イオンが6割以上も含まれていることから高いリラックス効果を期待できる。保養に限らず湯治にも最適な温泉なのである。
■湯上り、しばらくぽかぽかしていた。くつろぎながら一階の和食レストラン「かわせみ」で、アマゴの唐揚げ定食を注文して美味しく味わっていると、椅子やテーブルのシルエットの向こうに、春色に染まる山が飛び込んできた。思わず外に出た。橋の架かる小川を渡り、茅葺屋根の小屋までいくと、視
界に菜の花畑が一面に広がった。息を呑んだ。山の斜面へ行くと、それとコントラストを成すように蓮華畑が紅色く波打ち、小さな谷風にその甘い香りがかすかに運ばせていた。眼下には渓流が流れ、川べりでは数人の子供が虫取りをしている。それを見下ろすように山道を上っていくと、道端には、スミレ、タンポポ、ユキヤナギなどが咲きこぼれていた。そんな風景にしばらく見とれているうちに、バスの時間をすっかり忘れていることに気づいた。陽は西に傾き始めている。春色の風景を後にするのを名残惜しく思いつつ、帰路を急いだ。
(電話)088−676−1117
(住所)徳島県名西郡神山町神領字本上角80
(1泊2食付)11000円〜
(日帰り入浴)可(大人500円、子供250円/
10時〜21時、※10〜3月は〜20時)
(休み)第4火曜
(交通)JR徳島駅から徳島バス神山線で60分、神山温泉前下車
・徳島自動車道藍住ICより車60分

■1時間ほど待ってロータリーに入ってきた神山行きの徳島バスは定刻に徳島駅を出た。市街地の雑踏を過ぎると、道路は次第に山を巻きはじめる。車窓は、左手にみずみずしい四国山地の緑を、右手には鮎喰川の清らかな流れを優雅に映しだしていった。1時間ほどバスに揺られて神山温泉前で降りた。明るい風のそよぎの向こうに桜の花びらがひらひら舞い落ちている。その陽だまりの道を抜けていくと、民芸風の神山温泉の建物が現れた。
■館内に入ると高い天井にシャンデリアが掛かげられ、神山杉の床や壁に薄橙色の光を落としていた。広がりと温かみを感じさせる空間に思わず心が和む。荷物を部屋に置いてから温泉に浸かりにいった。格子戸をガラガラ開けると、素朴なタイル張りの浴槽が現れ、透明の熱い湯がなみなみと張られていた。湯はヌルヌル感のあるいわゆる美人の湯とされる良泉だった。特筆すべきことに、神山温泉の泉質は、ナトリウム塩化泉と炭酸水素泉の効果を併せ持つ珍しいもので、陰イオンが6割以上も含まれていることから高いリラックス効果を期待できる。保養に限らず湯治にも最適な温泉なのである。
■湯上り、しばらくぽかぽかしていた。くつろぎながら一階の和食レストラン「かわせみ」で、アマゴの唐揚げ定食を注文して美味しく味わっていると、椅子やテーブルのシルエットの向こうに、春色に染まる山が飛び込んできた。思わず外に出た。橋の架かる小川を渡り、茅葺屋根の小屋までいくと、視
界に菜の花畑が一面に広がった。息を呑んだ。山の斜面へ行くと、それとコントラストを成すように蓮華畑が紅色く波打ち、小さな谷風にその甘い香りがかすかに運ばせていた。眼下には渓流が流れ、川べりでは数人の子供が虫取りをしている。それを見下ろすように山道を上っていくと、道端には、スミレ、タンポポ、ユキヤナギなどが咲きこぼれていた。そんな風景にしばらく見とれているうちに、バスの時間をすっかり忘れていることに気づいた。陽は西に傾き始めている。春色の風景を後にするのを名残惜しく思いつつ、帰路を急いだ。(1泊2食付)11000円〜
(日帰り入浴)可(大人500円、子供250円/
10時〜21時、※10〜3月は〜20時)
(休み)第4火曜
(交通)JR徳島駅から徳島バス神山線で60分、神山温泉前下車




